『ココロ彩る恋』を貴方と……
記事の中の写真は、先月行われた展覧会の準備をしている時のもので、『普段は作務衣を着て製作に取り組んでいるが、公の場ではそうもいきませんから…と、はにかんだ笑顔を見せてくれた…』と記されてあった。


「作務衣…って、この短い浴衣みたいな服のこと？」


いつも同じ服装だな…と思ってはいた。
色は違ってるから、時々着替えているんだろうとは思う。

そう言えば、洗濯する衣類の中でも一番多くて、しかもなかなか汚れが落ちないものまであった気がする。


「そうか。版画の材料で落ちないものがきっとあるんだ」


なるほど…と今更ながらに感心している。
単純に生活習慣の成ってない芸術家だと思っていたけど、そんな有名人だったのなら仕方ない。
きっと遅くまで製作活動をしているんだろう。それでいつも起きてくるのが遅いんだ。


「それで、昼間はいつもボォ〜〜としてるのね」


すっかり眠り込んでいる様子を見て笑った。
こうやって何も意識せずに眠ってる姿は、まるで子供のようにも見える。


「意外に可愛いかも」


卵焼き味付けを聞きに来たのも忘れて見入っていた。
あどけなく見える寝顔に近づいて、写真と見比べようとしたら。


「ん……」


唇が小さく開いて声が漏れた。

肉厚で少し大きな口元に目が行き、ドキン…と胸が弾む。


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