ラティアの月光宝花
第五章

容赦ない報復

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「よくやったぞセシーリア。ライゼン・エシャードに任せておけばイシード帝国との戦いに役立つ戦路設計と詳しい地図、それに案内係を確保出来る。これがどういう事がわかるか?地形を味方に付けた戦いが可能になり、かなり有利になる」

エシャードから帰還したばかりのセシーリアに、マルケルスがニヤリと笑った。

自室の玉座に腰かけたセシーリアは、そう言ったマルケルスに小さく頷いたものの、その顔に笑顔はない。

「セシーリアどうした?長旅で疲れたか」

手早く入浴をすませ、旅の汚れを落としただけのセシーリアは、即座に首を横に振ると答えた。

「マルケルス、明日それぞれの軍隊長を軍議塔に集めてちょうだい」

瞬間的にマルケルスはシーグルと視線を交わした。

「どうした、セシーリア」

マルケルスの代わりに、今度はシーグルが声をかける。

アンリオンも腕を組んだまま唇を引き結び、セシーリアの言葉を待っている。

そんな三人に、セシーリアは静かに答えた。

「サージア帝国とルアス帝国を同時討ちにする」

その言葉にマルケルスをはじめ、シーグルとアンリオンも眼を見開いた。

同時討ちというものが珍しいからではない。

それがセシーリアの口から出た台詞だから驚いたのだ。

「本気か?セシーリア」

セシーリアが三人にしっかりと頷く。

「本気よ。サージアは我が領土に加える。ルアスに関しては現皇帝ラバトを幽閉する」

マルケルスがニヤリと笑った。

「ラバトは他国と会談しては国々を引っ掻き回す天才だ。そろそろ黙らせといた方がいい。で、その後はどうするんだ」

セシーリアはマルケルスをチラリと見ると、玉座から立ち上がった。
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