タタリアン
朝になって翔太と佐吉はケヤキ
の様子を見たが、まだイキイキと
していて変化がなかった。
「じいさん、この樹は本当にタタ
リがあるんだろうか?」
少し弱気になっている翔太の問
いに佐吉は、
「樹はわしらよりも長い間、こう
やって何も言わずに、どんなこと
をされてもじっと立っとる。辛い
ことも苦しいことも全部、自分の
中にしまって発散することもでき
ん。わしらが樹を傷つけることが
できても、樹がわしらを傷つける
ことがどうしてできる?」
「それならじいさんは、いろんな
トラブルが起きるのは、この樹を
切らせたくない者の仕業だと思
う?」
「そうかもしれん。この樹に愛着
があって、必要としている者が
おったとしても不思議じゃない」
「でも天気まで変えられる奴って
いるのかな?」
「樹にそんな力がないことは確か
じゃ」
「俺を殺そうとしてる奴は絶対こ
の樹と関係がるはずなんだけど」
「それはこの樹を切ってみれば分
かる」
「それまで俺、もつかな?」
「樹は愚痴なんかこぼさんぞ」
「俺は樹じゃないもん」
翔太はこの日の夜もパトカーの
中で警戒した。
他のパトカーも謎のレッカー車
を見失った場所などに待機させ
た。
昨日の真夜中と同じ時間。
翔太は辺りを警戒したがレッ
カー車が出てくる気配は無かっ
た。
しばらくするとパトカーの後ろ
の方で、道路の真ん中を女の子が
トボトボと歩いている姿が見え
た。
この時間に自動車は通らなかっ
たが、謎のレッカー車のこともあ
り、翔太と一緒に乗っていた警察
官がパトカーを降り、女の子に近
づいて行った。
突然、パトカーの前からヘッド
ライトの強い光が射した。
翔太はまぶしいのを我慢して目
を凝らすと、前から謎のレッカー
車がゆっくりと向かって来た。そ
して徐々にスピードを上げて翔太
の乗ったパトカーの横を通り過
ぎ、女の子の方に走って行く。
警察官が慌てて女の子を抱きか
かえ、道の端に避けた。
翔太はパトカーの運転席に移
り、謎のレッカー車の後を追っ
た。
の様子を見たが、まだイキイキと
していて変化がなかった。
「じいさん、この樹は本当にタタ
リがあるんだろうか?」
少し弱気になっている翔太の問
いに佐吉は、
「樹はわしらよりも長い間、こう
やって何も言わずに、どんなこと
をされてもじっと立っとる。辛い
ことも苦しいことも全部、自分の
中にしまって発散することもでき
ん。わしらが樹を傷つけることが
できても、樹がわしらを傷つける
ことがどうしてできる?」
「それならじいさんは、いろんな
トラブルが起きるのは、この樹を
切らせたくない者の仕業だと思
う?」
「そうかもしれん。この樹に愛着
があって、必要としている者が
おったとしても不思議じゃない」
「でも天気まで変えられる奴って
いるのかな?」
「樹にそんな力がないことは確か
じゃ」
「俺を殺そうとしてる奴は絶対こ
の樹と関係がるはずなんだけど」
「それはこの樹を切ってみれば分
かる」
「それまで俺、もつかな?」
「樹は愚痴なんかこぼさんぞ」
「俺は樹じゃないもん」
翔太はこの日の夜もパトカーの
中で警戒した。
他のパトカーも謎のレッカー車
を見失った場所などに待機させ
た。
昨日の真夜中と同じ時間。
翔太は辺りを警戒したがレッ
カー車が出てくる気配は無かっ
た。
しばらくするとパトカーの後ろ
の方で、道路の真ん中を女の子が
トボトボと歩いている姿が見え
た。
この時間に自動車は通らなかっ
たが、謎のレッカー車のこともあ
り、翔太と一緒に乗っていた警察
官がパトカーを降り、女の子に近
づいて行った。
突然、パトカーの前からヘッド
ライトの強い光が射した。
翔太はまぶしいのを我慢して目
を凝らすと、前から謎のレッカー
車がゆっくりと向かって来た。そ
して徐々にスピードを上げて翔太
の乗ったパトカーの横を通り過
ぎ、女の子の方に走って行く。
警察官が慌てて女の子を抱きか
かえ、道の端に避けた。
翔太はパトカーの運転席に移
り、謎のレッカー車の後を追っ
た。