・いつまでも、キミを想う


大浴場に着くと、女湯と男湯が記され隣り合っているのれんが目に入る。

私は女湯の赤いのれんをくぐる。

夕食前だからなのか、入り口には入浴中であろう客達のスリッパが数人分あるだけだ。

スリッパを脱ぎ、それらの隣りに並べる。


幾つか並んでいる籠には、脱がれた浴衣等が置かれ、私は入り口に近い籠の前で着ていた服を脱ぎ裸になった。


「わぁ、広いー」


つい、思った事をそのまま口にしてしまった声が浴場内で響く。

先に入っていたお客さんたちは、個々に露天風呂やサウナに入っていたようで、私のアホな声を聞かれずに済む。


サッと全身を洗い、室内の風呂に身体を沈める。

丁度いい湯加減の時って、どうして「あぁーっ」と、オッサンみたいな声を発してしまうんだろう。

「日頃の疲れもすっ飛ぶね」なんて、独り言まで飛び出す始末だ。


さすがに露天風呂で時間を潰すにしても、たかが知れている。

長湯をすればのぼせちゃうし。

大浴場では露天風呂の他にも、あちこち併設されていた面白浴場などもあったが、その殆どを制覇した私は繭の到着を待たずに、お風呂から出る事にした。


彼からの電話に浮かれている繭は、いつ大浴場にやって来るかもあてにならないしなぁ。


ザブンとジャグジー風呂から立ち上がり、私は一旦お風呂から出る事にした。


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