願 叶



私と目が合った瞬間、雪君はパッと手を離す。


「あっ、ごめん・・・。」



「・・・。」


また沈黙。


私はドアノブから手を離し、ピアノの方へと近づく。



そして、そっとピアノに触れる。冷たい・・・。




「私、ピアノなんて猫ふんじゃったぐらいしか弾けないや。」


そう笑って雪君に言うと、少しだけ雪君は笑ってくれた。

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