甘い恋じゃなかった。
「ふーん。なるほどね」
豚の生姜焼き定食を食べ終え、食後のお茶を飲みながら莉央が感慨深げに頷いた。
「まさか自分ちに連れ込むとはね。桐原さんもいるのに」
「まぁ…たまたまうちにすごく近い所だったから」
「それで、桐原さんと同居していることがバレて牛奥に避けられていると」
「…うん…まぁ」
入社して以来、ずっと苦楽を共にしてきた牛奥。仕事になかなか慣れなくて大変だった一年目も、はじめて後輩ができた二年目も、仕事を任されるようになってきた三年目も、お互いに励まし合いながら、莉央と三人で頑張ってきた。
変な自信があったんだ。
牛奥と自分との友情に自信があった。
だから、牛奥に避けられているのは
…なんだかすごくショックだ。