甘い恋じゃなかった。
「ふっ…」
改めて落ち込む私を前に莉央が不吉な笑みを浮かべる。
「え…莉央さん?」
「あーごめん。
相変わらず器のちっさい男だと思ってさ。てかこんなことで避けるとか小学生かって感じ」
「軽蔑されたのかなぁ」
付き合ってもいない男と一緒に住むとかありえない、って顔してたし。
呆れられたんだ、きっと。
「そんなに落ち込むのなら本人と直接話せば?」
お盆を手に立ち上がる莉央。
「…アイツだっていつまでも逃げてばっかりじゃいられないでしょ」
そして意味深な笑みを残して食器を片付けにいってしまった。
…そうだよね。私、こんなことで同期の友情が壊れるのは嫌だし。ちゃんと話そう、牛奥と。