memory〜紅い蝶と私の記憶〜
「帰る前にちょっといいか?」


…moonのみんな。


よくよく見渡すと、moonの下っ端たちはみんな帰ったようだ。


それにきっと、moonは私のことを聞きたいんだろう。


「…わかった。晴天、みんなに先に倉庫に戻るよう伝えてくれ」


「わかった!!」


それを一瞬で気付いてくれるのが、さすがの築路さんなんだよな。


あいつ、本当にすげぇよ。


まだなんにも言ってねぇんだぜ?


「…さて、moonの聞きたいことっていうのは星南のことだな」


「ああ。星南は本当に紅炎なのか?事故や記憶喪失のことも。そして、なぜ影と呼ばれているのか。全て知りたい」


〝全て〟…か。


お兄ちゃん、幸助先輩、昶、美鈴ちゃん。


みんなの顔は真剣で。


話を聞く覚悟をしてきたんだって。


すぐにわかった。


記憶喪失の間、少しだったけど私の支えとなってくれていたみんな。


だからこそ、私は全てを話そうと思える。














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