memory〜紅い蝶と私の記憶〜
「…おい、初耳だぞ」


「あ、あはははっ」


そういえば言ってなかったやー…。


「こいつ笑って誤魔化しとんで!」


「うるさい」


「ひっ!す、すまんっ」


ふん、少しは黙れ。


「あの日も嘘を吹き込まれてね。いつもなら大丈夫なんだけど、それまでに色々言われてたから自信がなくなって。油断してたから咄嗟に受け身を取れなかったんだ」


好きと言う気持ちは本物。


信じているという気持ちも本物。


だけど、何回も言われ続けると自信もなくなってしまったんだ。


しん…としてしまった空気をどうにかしようと、とりあえず笑い飛ばそうかな。って考えていたら。


後ろからつき君に抱きしめられた。


「…気づかなくてごめん。今は?もう大丈夫なのか?」


「…うん。もう大丈夫だよ。ごめんね、不安にさせて」


振り返って、つき君の頬を両手で挟む。


見つあって笑い合う。


うん、もう大丈夫。










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