人事部の女神さまの憂い

これで優秀な学生が増えるかは疑わしいところ。

きっとミーハーな子とか、軽いノリでのエントリーが増えて、手間だけが増えるんじゃないか。

そう考えて、念のため対策をしておこう、と久保くんを呼んだ。

「久保くん、説明会のエントリーフォームちょっと手加えられる?」

「大丈夫ですよ。とはいえ、もう満枠がほとんどなんで、あと2回分くらいですけど」

「そっか。どうしようかな・・・。でも、念のため。エントリーに参加動機でもなんでもいいんだけど、200文字以上のフリーコメント必須にして」

迷ったけど、念のためにハードルをあげようと決めたのだ。

「え、何でですか!?人数足りないんでハードル上げなくても、と思うんですけど」

「ちょっとさ、無駄にバズっちゃったから、ミーハー対策」

「あ、さっきの美人人事ですか?了解です!」

そう言いながら早速作業に取り掛かる久保くんを、頼りになってきたなーと眺めた。


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