人事部の女神さまの憂い
13

「悪かったな」

ストーカー野郎が来たらやばいからしばらくいるよ、と言って家に上がった藤木さんは、この前の残りの焼酎を飲みながら、急に謝ってきた。

確かに藤木さんのせいだって一瞬思ったりもしたけど、それはただの八つ当たり。

よく考えなくても、柏木さんの気持ちが私にないことと、藤木さんが家に来てたことは全く関係ない。首を横に振って

「見ないようにしてたことが、はっきりしただけですから」

藤木さんを見上げると、いたわるような優しい目で見つめられた。

「それでも、あいつがいいんだろ?」

そんな目で、そんなこと言われたらさっきなんとか止めたはずの涙がこぼれ落ちてしまう。


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