くれなゐ症候群
外界から完全に遮断された空間に身をおいて、時間の流れさえもさだかでない。



失礼します、
慇懃な声とともに、カーテンがまくられ、ウエイターがするりと入ってきた。

片手にお盆を持ち、片手でカーテンをさばく。動きはなめらかだ。

密着している和也と奈緒の姿にも、眉ひとつ動かさない。
彼にとっては、日常風景なのだろう。


「お待たせいたしました」

コトリ、とテーブルの上にグラスが一つだけ置かれた。
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