くれなゐ症候群
こっちへおいで、怖くないよ、

中学三年の翔一が、奈緒に声をかけたのは、初春の夕まぐれ。
一人で帰り道を歩いていたときだ。


いいもの見せてあげるから。

つながれた手がこそばゆい。
幼子でもないのに、手をつなぐ。

その意味することは、まだおぼろげで、戸惑いが胸にわく。



「いいもの、って?」

「野良猫が子ども生んだんだ。いま行ったら、たぶんさわれるよ」
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