くれなゐ症候群
連れてこられたのは、廃工場だった。

近寄ってはいけないと、大人たちに言われている場所。


こっちこっち、
翔一は慣れた様子で、塀の壊れ目から、奈緒をなかに導き入れる。

ここに入るのは、初めてだった。
建物と塀のあいだのじめじめした隘路を、進む。

すぐ横にそびえる建物が、威圧的だ。
さびついた枠に、割れたガラス。


意味も目的も喪い、廃墟と化したコンクリートの塊。
まさに建物の骸骨だ。
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