くれなゐ症候群
翔一が、建物に目を転じる。


かつてドアがはまっていただろう入り口は、今はただ四角い口が虚ろに開いているだけだ。

そちらに向かって、翔一が足を踏み出す。

靴の下で、砂利を踏みならす音がする。



「兄貴、なにやってんだよ!」

鋭い少年の声が響く。建物の陰から現れたのは、修二だ。


「なんだ、お前」

舌打ちして、翔一が奈緒をおろした。
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