くれなゐ症候群
ただ奈緒の目は、ひたすらステージの修二を見つめ続ける。

音楽のこともギターのことも、よく知らないけれど。

修二の指は、なんてすばやく正確にギターの上を動くのだろう。

その華麗さに、ただ目を奪われる。


自在に弦の上を流れる指も、こきざみに上下する腕も、眉を寄せた寡黙な表情も、

すべてが、奈緒の知らない修二だ。

長いソロパートを涼しい顔で弾ききり、満場の喝采をあびる。

わずかにこぼれた白い歯に、胸が熱くなる。

気づけば、奈緒も夢中で歓声を送っていた。
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