くれなゐ症候群
この見捨てられたような町にも人は住み、子どもは生まれ、学校に通う。


奈緒が通うのは、町の一つの象徴のような用水路、通称 “どぶ川” を越えたところにある。
バスで3駅の距離にある共学校だ。


この地域では偏差値・進学率・就職率ともに、まだマシ、といわれている。

町の中には名前を口にするだけで、人が眉をひそめるような男子校が、ある。

その高校の生徒にすれ違っただけで、男はリンチに遭い、女ならレイプされる。そうまで言われるほどの。


修二の兄が通っていた高校だ。
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