くれなゐ症候群
母と二人、食卓をかこむ。

日がな一日、うちにこもりっきりの母の話題は、非常に限られている。


ラジオで耳にしたこと、テレビで見たこと、思い出語り、通院や買い物でのちょっとしたできごと。
奈緒の学校での話。そして、修二のこと。


「そうそう、修ちゃん。
いつだったか、桜の枝を持ってきてくれたのよねえ。すごくきれいで・・・」


お母さん、
心の中でひっそり訂正する。

桜の枝を折ってきたのは、翔ちゃんのほうだよ。
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