【完】クールな君に告白します
“椎名くんのこと好きになっちゃったかも”
まだ、人を好きになるということが、どんなことのなのか。
その意味さえ知らないオレに、ササヤマが頬を赤く染めるから、反応に戸惑いを覚えた。
授業参観も後半へと差しかかった頃、自慢のワンピースを纏ったササヤマが、算数の問題を得意気に解くと、黒板の前から戻ってくる。
……その時だった。
オレの体操着の袋に足を引っ掛けて転倒したササヤマは、顔から机の角に突っ込み、前歯を折った。
ーーー目の前で起きた、一瞬の、悲劇。
「なんで……っ、ウチの娘が………!」
中断された授業。
あわてふためいた担任と保護者に囲まれて、血だらけの口を大きく開けて泣き叫ぶササヤマの顔を、今でも覚えてる。
初めて“ それ ”が起きた時、オレは8歳だった。