ぬくもり
「そんなに自分を責めちゃ駄目ですよ。
子供の事故は予測できないもんですよ。」


本当の事を何も知らない岡崎さんは、少しでも私の気持ちを軽くしてくれようと気遣ってくれる。



その優しさが痛かった。



「違う、違うんです。
事故なんかじゃないんです。

私が、私がやったんです。」



私はずっと誰かにきいてもらいたかったんだ。


自分のしでかした罪の懺悔を…。



「私、ずっと優を虐待していたんです。」

「え?」



ちょうど、車は赤信号になり、岡崎さんは驚いた顔で私に向き直る。


「優を妊娠中に、井上の浮気を知ったんです。」



信号は青になり車が流れ始める。



「捨てられたらどうしようって、毎日そんな事ばかり考えていました。


井上に捨てられるのが恐くて、井上には何も言い出せずにいたのに、嫉妬深くなって、疑り深くなって、1日に何度も電話したり、帰ってくるなり持ち物全てを調べたり、わざとみたいに井上の嫌がる事をし続けてきました。」




「私は男ですからわからないですけど、普通の女の人は、やっぱりみんなそんな風になるもんじゃないですか?」



岡崎さんが静かに口を開く。

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