ぬくもり
俺はきっと優にとって、いようがいまいがどうでもいい父親になるんだろうなぁ、なんて考えていた。



会社から帰ると家には誰もいない。


部屋の鍵は開きっぱなしだった。


ダイニングテーブルの下には、白いものが落ちてベッチャリと潰れていた。




何かあったのか?



俺は不安な気持ちで、美沙の携帯に電話を掛ける。


どこからか、電話の着信音が聞こえてくる。



ソファーの上に、美沙の携帯が転がっている。



持って行ってないのか…
優に何かあったんだろうか。



不安な気持ちで、部屋の中をうろつく。


時計の音だけが静かな部屋に大きく響く。
時間がひどくノロノロと過ぎていく。



美沙からは何の連絡もないまま…。



俺は部屋中をうろつき、ソファーに座ったり立ったりを繰り返しながら、美沙を待ち続けた。


美沙が帰ってきたのは、それから3時間も経った頃だった。


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