ぬくもり
優もお昼寝から目を覚まし、そろそろ買い物へと思った矢先に、携帯が司からの着信を知らせる。



たまにみんなで外で食事をしよう。



司からの誘いの電話。



初めての家族での外食だった。



私は優の服を色々引っ張りだし、気に入るものを探す。


悩みに悩んで、優を、涼しげな薄いブルーのワンピースに着替えさせ、少し伸びてきた髪の毛を、少々無理矢理にアップに結い上げる。



私はいつもより少しシックな服に着替え、髪を綺麗に巻いてから結い上げた。


いつもより丁寧に化粧をして、丁寧にマニキュアを塗る。


マニキュアを乾かす段階で、何度も優に邪魔されマニキュアがよれながらも、新しく塗り直し、ようやく乾かす事に成功した。



私達は準備バッチリで司を待った。



司は相当急いで帰ってきたらしく、額には汗の粒が浮かんでいた。



3人で車に乗り込み、近所のファミリーレストランへ行った。


どこに行くか話し合った結果、優がいるので家族向けのお店。

となると、選択肢はファミリーレストランしか残されていなかった。



優は初めての家族揃っての外食に大はしゃぎで、せっかくの可愛いワンピースにケチャップのシミを作りながら、お子様ランチと奮闘中。


私と司は、そんな優の姿をニコニコと眺めていた。



私がふと周りを見渡すと、土曜の夕飯時のファミレスは、仲の良さそうな家族連れで賑わっていた。


今日は私達も、幸せそうな家族に見えてるんだろうなぁ。



でも、これが最初で最後になるのかもしれない。


こんな事を考えていたら、この幸せな時間が台無しになっちゃうよ。



私は暗い考えを頭から振り払う。

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