夢で会いたい


外で軽トラの音がした。
トモ君が迎えに来たようだ。


「じゃあ、行ってきます。美弥子さん、また遊びに来るからね」

玄関で靴を履いた芽実ちゃんが振り返る。

「行ってらっしゃい。芽実ちゃん、いい嫁にならなくていいし、いい主婦にならなくていいからね」

「何それ。私がダメダメみたいじゃない」

「芽実ちゃんは、ずっとトモ君のいい奥さんでいなさい」

あらら。動きが止まってしまった。
泣くかしら?

さすがトモ君。
助けるようにちょうどよく呼び鈴が鳴った。

「遅くなりました」

「トモ君、うちの孫をよろしくね」

「はい!精一杯頑張ります・・・えっと、ではいただいて参ります」

「はいはい、どうぞー」

「美弥子さん軽い!」



軽トラに乗り込んだ二人を見送る。

「行ってらっしゃい」

「行ってきまーす」

すぐそこまでなんだけど、見えなくなるまで見送った。



どうか末永く、深く、大きく、強く、お幸せに。







end

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