夢で会いたい


車がないので、バス、電車、新幹線を乗り継いでやってきた。

ひー!都会!
しばらく喧噪から離れて生活していたから、人の多さに目が回る。

小雪が選んでくれたのは、駅から近いカジュアルな創作レストランだった。
木やベンチがあるちょっとした公園のようなスペースを囲むように飲食店が並んでいて、その一角。

店員さんに案内されたのは窓際のボックス席だった。
さきほどの公園スペースが見渡せる。

他の3人はすでに来ていた。


「こんにちはー」

「あ、芽実ちゃん!遠くからお疲れさま」

小雪が自分の隣を示してくれたので、お礼を言って座った。

目の前にはメガネをかけた穏やかそうな男性。
顔は悪くない。服のセンスも悪くない。そして体つきはさすが消防士、すごくいい。
きゃーん!最高のMr.MATOMO!

「こちらは健人君の先輩で中島さん。中島さん、私の友人の北村芽実さんです」

「初めまして、北村です」

「中島行成です。寒くて大変でしたね」

落ち着いた声に、きちんとしたこころ遣い。
パーフェクト!パーフェクトだよ!

小雪に親指を立てて合図を送りたいのを必死にこらえる。

「とりあえず注文しようか。腹減ったし」

蚊帳の外から瀬尾君がメニューを開きつつ声をかけた。

挨拶もせずにごめんね瀬尾君。
感謝は後ほどしっかり伝えますので。

ランチメニューは和食、洋食、パスタの中から選べるようで、瀬尾君と中島さんは洋食、小雪は和食、私はパスタを選んだ。

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