強引上司にさらわれました
野沢くんが右手に拳を作り軽く振れば、村瀬さんは「ここまで手ごたえを感じたのは初めてですね」とにこやかに微笑む。
「麻宮はどうだ」
「はい、嬉しいです」
「なんだその中学生みたいな感想は」
素直に言うと、課長は口元をフッと緩めた。
「ほんとですよぉ、麻宮さん」
そういう野沢くんだって『やったぜ』だったくせに、それはないと思う。
「うちが求める“柔軟性、発想力、チャレンジ精神、顧客志向”を言葉で説明しなくても、学生にはしっかり伝わったということだ」
課長の言葉に、私たち三人は大きくうなずいた。
一方的にこちらから発信するばかりの従来の説明会では、きっと成し得なかったこと。
それをたった一度で可能にしたのだ。
「麻宮さん、やりますねぇ」
「本当に」
野沢くんと村瀬さんが私を持ち上げる。