強引上司にさらわれました
「いえ、私はざっくりとした提案をしただけで。あとは課長がここまでの説明会にしてくださったわけですから」
私は、野沢くんの“遊び心”という言葉にヒントを得て、竹とんぼを作ろうと思っただけ。
課長がここまでの説明会にしてくれたのだ。
「麻宮の提案があってこそだ。本当によくやってくれた」
「課長……」
穏やかな眼差しに乗せて、課長が笑みを浮かべる。
嬉しさは、課長のそんな表情で高鳴る胸に比例していく。
「ちょっとちょっと、そこ! なんか妙なムードになってません?」
野沢くんに言われて我に返る。
ドキッとしてしまった。
「みょ、妙なムードってなに」
言葉がスムーズに出てこない。
「ハートマークが飛び交って見えましたよ」
「そんなの――」
「野沢」
課長が低い声を発して野沢くんを見据える。
鋭い視線への切り替えの速さに私は驚いてしまった。