強引上司にさらわれました

「いえ、私はざっくりとした提案をしただけで。あとは課長がここまでの説明会にしてくださったわけですから」


私は、野沢くんの“遊び心”という言葉にヒントを得て、竹とんぼを作ろうと思っただけ。
課長がここまでの説明会にしてくれたのだ。


「麻宮の提案があってこそだ。本当によくやってくれた」

「課長……」


穏やかな眼差しに乗せて、課長が笑みを浮かべる。
嬉しさは、課長のそんな表情で高鳴る胸に比例していく。


「ちょっとちょっと、そこ! なんか妙なムードになってません?」


野沢くんに言われて我に返る。
ドキッとしてしまった。


「みょ、妙なムードってなに」


言葉がスムーズに出てこない。


「ハートマークが飛び交って見えましたよ」

「そんなの――」

「野沢」


課長が低い声を発して野沢くんを見据える。
鋭い視線への切り替えの速さに私は驚いてしまった。

< 135 / 221 >

この作品をシェア

pagetop