強引上司にさらわれました
そんなこと言われなくてもわかってる。
私が素直になればいいだけだって。
でも、一度強く突っぱねてしまったから、それを緩めるにはどうしたらいいのかわからないのだ。
それに、達也で失敗したことも尾を引いている。
どうしたって臆病になってしまう。
「言っておくけど、恋愛はタイミング勝負だからね」
「……タイミングねぇ」
「思い合っていたって、少しでもタイミングを外したふたりは結ばれない」
思い合っていても結ばれない、か……。
「それなら、私たちはもうとっくにタイミングを外してる気がする」
「なーに言ってんのよ。泉はまだ彼にぶつかってもいないくせに」
美優の言うこともわかる。
私が課長にぶつけたのは、自分の怒りだけだった。
課長を責める言葉だけ。
しかも、対象を達也に置き換えるなんていう卑怯なやり方で。
「早いほうがいいと思うよ」
美優は何度もそう言いながら、お茶をすすったのだった。