強引上司にさらわれました
そんな私を課長はそっと引き離した。
「おとなしく待ってるんだ」
控えめな微笑みを浮かべ、課長が私の頭の上に手をのせる。
まるで私は子供みたいだ。
課長にあやされている気分だった。
「でも、シカゴなんて……」
会いたいと思ってもすぐに会える距離じゃないし、一年間も離れ離れなんて耐えられない。
「シカゴには行く。ただ、一年ではない」
一年じゃ、ない……?
美優の話と食い違ってる。
「それじゃ、半年ですか? 三ヶ月ですか? それとも――」
「一週間の予定だ」
「一週間!?」
え? なに、やだ。
それじゃ、単なる出張……?
課長は勝ち誇ったような笑みを顔いっぱいに浮かべた。
「部長からの引き継ぎで、シカゴ支社に挨拶だ」