隣で恋してもいいですか



  同じ制服を着る人でまわりはいっぱい。



  すると、当然女子の視線がこちらに集まってくる。



  「見て、あれ、霧宮先輩!」



  「超かっこいいよね~」



  まぁ、隣にいる蓮斗への視線なんだけどねッ



  超かっこいい?まぁ、かっこいいけど、みんなこいつの真の性格を知らないんだよッ


  ちらっと蓮斗を見ると勝ち誇った顔でわたしを見てくる。



  …………ずき



  その勝ち誇った顔が、なんだか少し胸が痛い。


  私は、ムッとした顔で返したけど、実際はそんな冗談交じりの気持ちじゃなかった。


  本気で、胸が痛い。


 
  なんだろう、これ。



  本当だったら、さっきだって、その勝ち誇った顔に本気で怒ってやりたかったけど…



   それも、無理。



   だって怒ったら私が蓮斗のこと好きみたいじゃん。


   …それは、ない。


   というか、私は蓮斗の事を好きになる事は、出来ない。


   …だって………



   「って、隣にいるあの人、霞上先輩?」



   その発言に、ドキッと心臓が高鳴り、思考が止まる。


 
   その発言をしたのは先ほど蓮斗を噂していた後輩たちだ。



   私は、いつも通学は蓮斗と一緒なので、かなり噂されてしまっている。



   「でも、霞上先輩、綺麗だから美男美女でいいよね」



   …は?


   何、私そういう理由で許されてたの?



   だから今まで蓮斗と通学一緒にしてても誰にも文句言われなかったのかな。



   そう思っていると



   「美人、だって」



    と、蓮斗がニヤニヤしながら言ってきた。



    その邪鬼を含んだ顔に、カァッと熱くなり、「うるさい…!」と私は言いながら、正門に入るあたりで歩くスピードを上げ、蓮斗から距離を取る。



   もう、ほんとなんなの!?



   意味わかんない…



   そう思っていた私だけど、私はまだ知らなかった。



   今日、出会うある人との再会で



   君との仲が壊れてしまうなんて___
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