授かり婚~月満チテ、恋ニナル~
「え~! 本当に本当だったの!? だって、長い付き合いだったんでしょ?」

「結婚間近だって聞いたこともあるのに!」


一度認めてしまったが最後、周りの女性たちが矢継ぎ早に質問を浴びせかける。


「あー……。だから、縁がなかったってとこだろ。もういいじゃん。あんまり人の傷に塩塗るなって……」


来栖さんは苦笑しながらそう言い置いて、「ちょっと悪い」と言いながら、まるで逃げるように席を立った。
お座敷を横断して廊下に出て行く背中を、後ろのテーブルの先輩たちが見送っている。


「……本当に振られてたのかあ……。無理矢理聞き出して悪かったかなあ……」


かなり今更な心配をして反省するのは榎戸さんだった。
それを聞いて、石津さんが肩を竦める。


「まあだけど……来栖も付き合いオープンにしてた分、いずれはそういう質問されるってわかってただろうし」

「早いとこ新しい恋に踏み出せるように、私たちも応援してあげないと!」

「えー、私たちが頑張らないと!の間違いでしょ~?」


来栖さんが席を立った後も、彼の話題で持ちきりの様子。
私はなんとなく来栖さんが出て行った廊下の方を見遣り、一度逡巡してから、思い切って立ち上がった。
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