授かり婚~月満チテ、恋ニナル~
私の勤務する大手インテリアメーカー『サエキコーポレーション』が入っているオフィスビルの低層階、商業フロアにあるレストラン。
ランチタイム真っただ中の時間、どこもお店の外まで、近隣のオフィスに勤務するサラリーマンやOLが並んでいる。


そんな中、五分ほど待って中華料理のレストランの店内に通された私たちは、四人で向かい合ってテーブル席に着いた。


私も先輩たちも、ランチセットをオーダーした。
チョイス出来るメインプレートでちょっと迷ったけれど、私は白麻婆豆腐に決めた。
隣に座った白井さんは酢豚。
向かい側の橋上さんと榎戸さんは青椒肉絲だ。


「ねえ、佐倉さん、さっき来栖君となに話してたの?」


私の前に座った橋上さんは、今年五年目で来栖さんと同期の二十七歳。
おしぼりで手を拭いていた私は、突然向けられた来栖さんの話題に、ドキンと鼓動を跳ね上げてしまう。


「えっ……。あ、あの。ちょうどドアを開けるタイミングが被ってしまって」


ちょっと焦りながらそう返事をすると、先輩たちは私の反応にクスクス笑う。


「ああ。午後一で外出予定入ったみたいだから、ちょっと早めにランチ行ってたかね」


私の隣でお水のグラスを手に頬杖をつく、今年六年目の白井さんがシレッと口にしたのは、大口取引先の総合商社の名前だった。
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