不器用な二人はあまのじゃくの関係
「…」

バタンッ

「はぁ」

学校に着いて下駄箱でため息をつく。
会いたいなぁ、遥太。

「大宮〜おはよー!」

ピクッ

女の子が大宮という名前を呼んでて体が反応した。

「あ、おはよー櫻井。」

まってまてまてまてよ。
遥太の声だよこれ!
櫻井さんとかいう女の子と挨拶しちゃってるし。

「朝練おつかれさーん。そろそろ名前で呼んでくれなーい?」

さっきよりちょっと甘い声で櫻井さんが言う。

「あー…なんだっけ?」

「は?ばっか!」

遥太がバシッと叩かれている音が聞こえる。

「ははっうそうそ(笑)ちゃんと覚えてるって夢花!」

「もう!」

そんな話をしながらふたりの声が遠くなっていく。
ねぇ、そういうノリで話さないでよ。私とだけ…話してよ。

ズーン

朝から気分最悪になった。
あー帰りたい。

「杏奈ー!おっはよ!」

「あ、優梨おは。朝練おつかれ」

「なんでそんな元気ないのよ?なんかあった?」

じわっ

「うっ…」

泣かない泣かない。
ごしごしと溢れた涙を拭いて

「ううん!ねむくてあくびしてただけ!」

「そっか!」

涙目だったのをあくびでごまかせたみたい。
櫻井 夢花ちゃん…
積極的だから私がもたもたしてたらきっと…

そんなの、やだよ。

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