不器用な二人はあまのじゃくの関係
「杏奈!お昼!」

「あ、うん!」

なるべく元気に過ごそうと思ったけど気持ちは落ちたままで、優梨に相談してみよっかな…
あ、でも!
梶原くんのことちょっとだけ聞いてみよう♪


「優梨!梶原くん仲いいみたいじゃない?」

なにも知らない風を装って聞いてみる。

「別に。普通だけど?」

く…そう簡単には騙せないか。

「それより杏奈、何かあったんでしょう?なんで黙ってるのよ。杏奈が言うまで聞かないようにしようって思ってたけどあんたのあんな落ち込んだところ見てられないよ。」

「優梨ぃ…あのねぇ、あのねぇ、」

優梨があまりにも感動的なことを言うから涙が出てくる。

「あーもう、ぶさいくだから涙拭きなさい!」

「優しいと思ったらいきなりひどいですよ優梨さん…」

塩分たっぷりな優梨の対応に涙が止まる。
こうやって慰めてくれてるのちゃんとわかってるんだけどね♪ありがとう。

「あのね、朝…」

私は朝の遥太と櫻井さんの話をした。
優梨は黙って聞いていた。
私は櫻井さんは遥太のこと好きな気がしてすごく嫌な気持ちになったって言った。
そう言うと優梨は口を開いた。

「その気持ちにちゃんと素直になりなよ。すぐに告白しろとは言わないよ。でもね、そろそろ意地張るのはやめて会いに行ってみたら?…人の心配してる暇があるならね。」

「え、え、それって…」

「梶原くんとグルなんでしょ?」

「え、ち、違うよ!」

「本当のことを言いなさい!」

ものっすごい顔で優梨が迫ってくる。
でも…

「言えない!!!」

「!」

「梶原くんと約束したんだもん…大好きな優梨でも…言えない!!!」

いつも私のこと大切にしてくれる優梨でもこれは言えないの。ごめんなさいって気持ちがいっぱいで目をぎゅっとつむった。

「そんな悲しそうな顔しないの!わざとよ。ごめんね?まぁ、杏奈は杏奈でちゃんとがんばるんだよ!」

どんなときでも優梨は優しい。

「うんっ!ありがとう!今日…遥太のお家に言ってみる!今日こそは寝ない!」

「なにそれ(笑)」

「この間も遥太に話しかけようと思ってたんだけど、いつの間にか寝ちゃってて。」

「ほんとドジねぇ」

ふふふっと笑う優梨。

そんなこんなで遥太と話す決心をして昼休みは終わった。


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