不器用な二人はあまのじゃくの関係
「はい、座ってね〜」

「ゆ、うりぃ」

「遥太は違うクラスだったのね?」

「とどめの一撃くらわせないでよぉ…うぅ」

教室に連れてきてくれた優梨は私を席に座らせてくれた。かと思いきやグサッと刺さる現実を突きつけられる。相変わらずストレートな子。

「ずっと同じクラスだったのにぃ」

幼稚園、小学校、中学校とずっと同じクラスだった。中学校のときは席は前後で最高だった。

「もぉそろそろ泣きやみなよー?あたしの席あっちだからそろそろ行くからね?」

「待ってよゆうりぃ」

「もぉ。隣のクラスなんだから体育だって一緒だと思うけど?(たぶん男女別だと思うけど)」

「ほんと!?そっか!確かに!立ち直った〜」

「ほんと単純だねぇ」

「このことは遥太には内緒だからね!」

「わかってますよー。じゃあそろそろ行くね?」

「うん!またすぐダッシュで優梨の席行くから!」

「ダッシュするほど距離ないっつーの」

クスッとわらって優梨は行ってしまった。

遥太とクラスちがかったのはほんとにショック。でも遥太のことだから私のとこに課題の答え見に来るよね!

まもなくして担任の先生が入ってきて挨拶をし始めた。

「…………、では、あと15分くらいで入場の合図がかかると思うので列ぶ準備をしてください」


ガタガタガタッ


みんないっせいに立ち上がって列ぶ準備をし始める。


くるっ


「わ!」

前の席の男の子がいきなり後ろを振り向く。

「俺、梶原 煌大(かじわら こうだい)。前の席だからよろしく、川井さん」

「うん!よ、よろしく!」

梶原くん…かっこよかった。少しワックスで整えた目にかかりそうなくらいの髪の毛。たれ目気味でかわいい顔だけど声は低くて男の子らしい。

「ステキな人だな…」

「おい!」


ベシッ


「なにぼーっとしてるの?列ぶよ?」

「優梨ー!ねぇ!みた!?梶原くん!」

「なによいきなり。」

「私の前の席の梶原くん!すっごくかっこよかったの!」

「よかったわね。どーせまたすぐ遥太がいいってなるんだから」

「今遥太のこと話題に出さないでよぉ…うぅ」

「あー!泣かないの!!ほら立ってあるって」

「ほら、そこ!はやくならべー!」

「あ、はーい。ほら杏奈、行くよ!」

「うぅ、」

「あ、遥太!」

「え!どこ!?ちょ、優梨ティッシュ!こんな顔見せらんない」

「じゃあ列ぼう!そしたら見えないから、ね!」

「早く行こ!」

「あはは、(ほんと単純な子)」

優梨が苦笑いした。
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