不器用な二人はあまのじゃくの関係

その後も手を繋いだまま水族館をまわった。

ずっとドキドキしっぱなしで魚なんて見ていられるほど余裕がなかった。



「お土産コーナー!」

「なにかほしいの?」

「んー。特には決めてないけど見たい!」

「おっけ」



















「わぁーっ!かわいいイルカさん」

「よかったなぁ」

ピンクと水色のイルカのぬいぐるみを遥太に見せると遥太は私を愛おしそうに見つめてくれる。その目の理由を知りたいよ。

「それ貸して。杏奈はピンクで俺が水色な!」

ぬいぐるみを両手にひとつずつ持ってニッと笑顔を見せる遥太。
そ、それって…おそろいということなのでしょうか!?

なんてひとりで妄想している私をよそに遥太は近くにあったカゴにぬいぐるみをふたつ入れて普通に他の商品を見ている。

あぁ、そっか。遥太はデートいっぱいしてるもんね。彼女と。
心臓がぎゅっと潰されたように苦しい。苦しい苦しいよ…
ギュッと目をつむる。

「どうした?体調悪いの?」

「へ?あ、いや…なんともない!」

私の異変に気づいたのか遥太が心配そうな顔でこっちを見る。

「緊張すんなー(笑)今更か!ハハハッ」

「へ?」

「あれ?中学のときさ、杏奈に相談したの覚えてない?デートに誘われたけど行く気ないからどーやって断ればいいかなーって。忘れちったか?(笑)」

あぁ、そんなことあったっけ。
そのとき私はデートデートって自慢してるようでムカついたんだっけな。
テキトーに「部活を理由にしたら?」なんて雑な断り方の提案をした覚えがある。

「部活を理由にするってやつ、それずっと使ってたんだぜ?(笑)そのおかげで全部大成功!…だからさ、デートっていうの初めてなんだよ」

照れて赤くなった顔を隠すようにぷいっとそらす遥太。
私が不安に思っていることが伝わったかのように安心できる言葉をくれる。
恥ずかしかったけど、それ以上にうれしくて。
幸せだ。

…ってこれカップルみたいじゃん!




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