不器用な二人はあまのじゃくの関係

「わぁー!クラゲさん!」

進んでいくと今度はユニークなかたちの水槽にフワフワ浮かぶたくさんのクラゲのコーナーが見えた。さっきまでの水槽のライトよりももっとカラフルなライトで照らされていて気分が上がる。

「ライトきれいだね〜!はやく近くに行こ…っひやぁっ!」

後ろを歩いていた遥太を見ながら歩いていた私は何かにつまずいて転びそうになる。

だめ…!床に手をつきたいのにこのままじゃ間に合わない…!

「…おい!」



ぐいっ



「わっ!」

遥太はとっさに私の腕を引っ張り、私の体は遥太の胸の中にすっぽり入った。

「はぁ。バカ。前見て歩けよ。
段差注意って書いてあんだろーが」

「ご、ごめん。ありがと」

転びそうになったことよりも今の状況にドキドキが止まらない。
遥太は私の体をスっと離した。

うう…もう少し堪能していたかったのに。
ガックリしている私に遥太は手を出した。

「ん。」

「…ん?」

「ん」って言われても頭が混乱してどうしたらいいかわからない。
あたふたしている私に呆れ声で遥太は言った。

「手、出して?また転ぶから。」

「手?はい…!」


ボボボッ


なんのことだかわかっていないまま出した私の手をぎゅっと優しく握る遥太。
ドキッとしてきゅんってして顔が熱くなる。
小さい頃は毎日手を繋いで冒険という名の散歩に出かけたり、おつかいに行ったりしていたのに。手を繋ぐのに慣れているはずなのに、いつの間にか知らない人のように大きくなっていた手。でも温かさは遥太そのもので。
ドキドキして心臓がもたないよ…


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