不器用な二人はあまのじゃくの関係

「優梨ただいまー!……って、え!?」

遥太とふたりで教室に帰ってきた私たちが見たのは衝撃の光景。
どういうこと…?

「あ、おっかえりー!大丈夫だったみたいね♪」

「え、いや、は?」

優梨は陽気に返事をするが遥太の頭はなにかと葛藤しているようだ。

「…優梨、それどういうこと?」

私と遥太は現状を飲み込めていない。
だって………だって……………

「優梨と……梶原くん…手、手!手!!!」

「え?手?」

私が混乱して『手』を連呼しているのに優梨はわかっていないフリをする。

「お前ら…できてんのか?」

どストレートに聞く遥太。

「言い方がいやねぇ、それ。実は私たち、昨日から付き合ってるの♡」

優梨はニコニコしながら「ねーっ!」と梶原くんと頷き合っている。
それに比べて私と遥太は顔を見合わせているが言葉を発せない状態。

「手、手…にぎって」

私はまだ優梨と梶原くんが手を握っている状況への衝撃から頭が抜け出せない。
遥太は混乱しながらなぜか怒っている。

「おい!梶原!お前、杏奈が好きなんじゃないのかよ!?」

「え?どういうこと?君、誰?」

いやいや、遥太!梶原くんは優梨のことが好きなんだよ!?前から言ってたもん!
優梨はなにもしゃべらないでニヤニヤしているが、今の遥太の発言で梶原くんも加わり、私と遥太と梶原くんの3人の頭の上にハテナマークが浮かぶ。
優梨、絶対おもしろがってる。

「はーい!3人とも落ち着いてー!」

ひと通りおもしろがったからなのか優梨はやっと口をひらく。

「まず、私と煌大は付き合ってるわ。そこで、遥太が気になっているのは杏奈と煌大が仲良さげにコソコソ話してるのを見たからなんでだろうってことよね?」

「あぁ。」

なぜか全ての流れがわかっている優梨の発言に遥太は頷く。私は優梨が梶原くんを“煌大”って呼んでいるところにほのぼのしながら聞いている。

「それは、煌大が私のことを杏奈に相談していたからなの。まぁ、遥太が私に『誰、あいつ』って聞いてきたときからっていうか、その現場を見てたから知ってたんだけどね〜♪」

「「ええ!?」」

遥太と梶原くんの声が重なる。
まさかのバレてたの!?

「は!?お前、気づいてたくせに俺にあんなこと言ったのかよ!」

遥太はすぐに優梨に噛みつく。

「だってグズグズしてる遥太キモかったんだもん。私が“アレ”言ってもまーだ何もしないでグズグズしてるけどねぇ?」

キレ気味の遥太をも余裕でかわす優梨。遥太は動揺が隠せないようだ。アレってなによ!

「は、はぁ?昨日、ちゃんと、デ…遊んだし!」

「それは杏奈が誘ったから行けたことじゃない。あんたはなにもしてないわ。」

遥太の反論は優梨によって一気に潰された。
優梨…強すぎるよ。

「梶原くん、昨日デートしたの?」

遥太と優梨がバトルしているのを横目に私は梶原くんに聞く。

「うん。川井さんのおかけだよ。」

照れながら微笑む梶原くんはとても幸せそうだ。

「いやいや、私はなにもしてないよ。梶原くんよかったね!」



キーンコーンカーンコーン


「「「「あ」」」」

私が話し終わった後ちょうど良くチャイムがなった。

「これ、予鈴……あ!私、お昼食べてないよ!」

「あと5分で食べなさい。ふふふ。」

むぅー!優梨、笑い事じゃないのにぃ…

「遥太は戻った戻った!」

「お、おう。って俺も食ってない!」

そう言って急いで教室に戻っていく遥太。
私は3分で食べれるだけ食べた。
私がお弁当をかき込んでいる間ずーっとイチャラブしていた優梨と梶原くん。人の気も知らないでー!!!















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