不器用な二人はあまのじゃくの関係
【番外編】煌大と優梨の馴れ初め


「んー……」

俺は梶原 煌大。
覚えているかな?

そんな俺は佐伯 優梨が好きだ。
いつから好きになったのか、なんで好きになったのか、考えてもわからないのだ。
そして今、佐伯さんをデートに誘うLINEの内容を考えている。

女の子と付き合ったことがない?
そんなことはないさ。
ただ、付き合った彼女たちを本当に好きだったかと聞かれたら好きだったとは言えないな。
なんで付き合ったのかってそれは、経験のためだよ。
最低とか思わないでくれよ。
ゲームでもレベルをあげるには経験値が必要だろ?俺はこれから出会う運命の人のためにレベルをあげているんだよ。

中学の頃からこの話をした友達みんなに「お前の頭はお花畑だ」と言われる。
まぁ、男が「運命の人」なんて、お花畑なのかもしれないな。


俺の運命の人、それは佐伯さんな気がする。
今まで好きになったことがない俺が初めて好きになった人だからな。




《今度の旗日に行きたいカフェがあるんだけど一緒に行かない?》

別に行きたいカフェなんてないけど、さっき「女の子が行きたがるカフェ特集」をテレビで放送しているのを見たので送ってみる。
特集されたカフェのひとつが近いところにあるのだ。



ピロリーン



《私、パンケーキとか興味ないの。》


ガーン。
俺の頭に岩が直撃したような衝撃が走る。

これは完全に脈なしの反応だ。
(さっきネットで調べた。)



ピロリーン



衝撃の余韻で頭をクラクラさせているとまたケータイが鳴る。


《コーヒーが美味しいところなら行ってもいいわよ》


おお!これは!
特集ではこのカフェの人気の秘密はコーヒーへのこだわりだって言っていた。
ラッキーだ!本当に!!


《コーヒー美味しいらしいよ。あとサンドウィッチも。》


興奮していることを悟られないように少し素っ気ない返信をした。
佐伯さんは勘が鋭いのでこんなことしても無駄なのだけれども、ちょっとした男のプライドの足掻き。


《いいわ。行きましょう?》


よし!よし!よし!!!
約束はできたがこれからが肝心だ!
慎重に行こう。











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