真愛



バルコニーに到着し、朱雀さんは室内で待機、私と綾牙さんの2人で話すことになった。

尊に関する話かと身構える。

「奈々ちゃん、君は親とはどうなってる?」

わからなかった。

いくら尊と仲がいいからって私の家庭環境まで聞く必要があるのか?

この人も、私を試してるんだろうか?

「私は元々母だけの片親で、数ヶ月前に捨てられたので今は絶縁状態です」

「そうか。君の父親は?」

「…失礼ですけど、なぜそれを貴方に話さなきゃならないんですか?」

「ふはっ、口が悪い所までそっくりだな」

くっくっく、と笑いスッと無表情になる。

その表情に凍りついた。

いつも笑顔だから尚更冷や汗をかく。

なに…考えてんの…。

思考が全然読めなくて恐怖を感じた。

「俺、知ってるよ?君の父親」

「え…?」

いや、そんなはずはない。

だって母は男を取っかえ引っ変えで誰との間に出来た子かもわからない。

そういって育てられてきた。

それに、他人であるはずの綾牙さんがそれを知っているわけがない。

「君の父親、紅瀬組の現組長。つまりは、俺の実の妹、ってわけ」

「え…?な、に…いって……」

思考が一瞬で停止した。

私の父親が…紅瀬組の組長?

そんなこと、あるはず…。

「おかしいと思わなかった?その常人離れした顔立ち、そこらの奴らとの間にできた子なわけないでしょ?」

ニッコリと貼り付けたような笑みを浮かべる綾牙さん。

何を言ってるの、この人は。

私が紅瀬組の組長と母の間に出来た子なわけない。

じゃあ何で母は組にいなかった?




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