真愛
私達の車が停まっている細道に、黒塗りのセダンが入ってきた。
組の人以外は知らないらしいから、組の関係者だと思う。
けど組の車は楽の車以外は統一されてるはずなのに、種類が違う。
ーーー逃げろ。
本能がそう叫んでいた。
車から1人出てきたと思った瞬間、街に銃声が響いた。
私に向けて撃たれた弾丸。
目をつぶって覚悟をしていた…のに、いつまで経っても痛みはない。
恐る恐る目を開けると、そこには血だらけの尊が倒れていた。
私を庇って撃たれたのだ。
「う、そ……」
地べたにへたり込み、尊に近づく。
苦しそうに荒い息を漏らす尊は明らかに危険な状態。
「尊っ…尊ぉっ……!!!」
ぬるり、と左手に不快な感覚が。
べっとりと広がる目の前の赤。
それを目の当たりにし、私の思考も停止する。
揺さぶっても、揺さぶっても、返事はない。
「尊!!??お前っ…胸…っ!」
駆け寄った楽が声を震わせながらいう。
撃たれた場所は…左胸。
「ねぇ、尊っ…!!死なないって…いったよね…!?ねぇっっ…!!!」
力なく尊の肩を叩くと、私の手を包む温かな温もりがあった。
尊の、手だ。
「ばー…か…死ぬわけ、ねぇ、だろ…」
「尊っっっ…!!!」
力なく笑う尊は、怪我ないか?なんて、こんな状態でも私の心配ばかり。