距離0センチ



電車から降りて、妊婦さんとは挨拶して別れた。


駅を出て、花火大会の会場に向かう。



「……」



さっきまでの会話を意識してしまって、黙ってしまう。



「紫乃先輩?」

「なっなに?」



「…怒りましたか?」




何かと思えば、そんなことを聞いてくるとは驚いた。



「いや……怒ってはないけど」



あまりに拍子抜けで、サラリと答えた。



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