オオカミ専務との秘めごと


「聞いてないです」

「えー、そうなんですか?」


宅配が来たのはお昼のチャイムが鳴る寸前で、社員食堂で私に会ったら直接伝えようと思ったのはいいが会えず、竹下さんを見つけたので伝言をお願いしたという。


「そうか。きっと忘れてしまったんですね」

「そう、ですね」


塩田さんと二人で苦笑いをする。


そっか、竹下さんか・・・。

普通なら“嫌がらせで言わなかった?”と考えてしまうところだけど、彼女なら、本気で忘れたのもあり得るから怖い。

どちらにしても、これからは竹下さんに言付けるのはやめてほしいと頼んだ。


印刷所から届いた荷物は、確かにカウンター内で巾を利かせている。

女子三人で協力して台車に乗せ終わり、お礼を言って部に戻ろうとすると塩田さんに呼び止められた。


「はい?」

「さっき専務とお会いできてよかったですね!」


ああそうだった。塩田さんは私の“恋の応援団”の一員だったっけ。


「はい、偶然って、おそろしいですよね・・・」

「なに言ってるんですか。偶然でも、それが続けば必然になります。そしたらもう運命ですよ!」


塩田さんは目を輝かせて力説する。

ほんわかした外見に似合わず、結構熱い人みたいだ。


「そう、ですね・・・あ、そうだ。今専務の隣にいた方は、どなたかご存知ですか?」

「隣、ですか?」


見ていなかったんだろうか。塩田さんは、カウンターに戻った子に尋ねた。


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