オオカミ専務との秘めごと
そうか、暗めの照明は夜景を楽しむためのものだ。
大神さんはいつもこんな景色を見ているんだな・・・。
「食事は済んでるか?」
「いえ、まだです。食べようとしたら、ハイヤーが来まして・・・」
「それは、すまなかったな。俺も食べてないから、ちょっと待ってろ」
大神さんはリビングから消えて間もなく、チーズとサラミと缶ビールを手に戻ってきた。
ついさっきまで食事どころではなく、何も用意していないから出前が来るまでこれを腹に入れていろと言う。
缶ビールを開け、夜景を見ながらチーズをつまんでいると、大神さんが意外に近くにいることに気が付いた。
なんとなく離れてみると腕を捕まえられ、元の位置に引き戻される。
「食わんから、逃げるな。俺のそばにいろ」
そう言われてしまっては、素直にうなずくしかない。
そういえば成り行きで缶ビールを飲んでいるが、今日はこれでいいんだろうか。
「それで、あの・・・今回のお仕事は何でしょうか」
「俺と一緒にいること。時間は明日の夜まで。今夜は家に帰さん」
真剣な目が私をまっすぐとらえていて、冗談で言っていないと分かる。
じっと見つめていると、そっと髪の毛に触れてきた。