オオカミ専務との秘めごと
「今日は俺のシャンプーを使え。パジャマは俺の出したものを着ろ。今身につけているものは、洗濯機に入れておけば朝には乾燥している」
私の言いたかったことは全部先回りされてしまい、何も言えなくなった。
一緒に夜を過ごすということは、つまり、彼女まがいの仕事ということで。
最初の契約の時に彼は『抱かない』って言っていて。
でもこんなとき男性は、大神さんは、どうしたいんだろう。
そして、私は・・・どうしてほしい?
大神さんは尊敬できる人で、とても優しくて、でも雲の上の人で・・・好きになったらいけない人。
「そんな不安そうな顔をするな。お前が嫌がることはしない」
髪を触っていた指先が頬を撫で、唇の輪郭をたどる。
彼の目が優しくて色っぽくて、魅入られたように動けない。
もしかして、大神さんは寂しんだろうか。
こんな私に傍にいてほしいと言うほどに。
「いいな?」
「・・・はい」
唇を触っていた指が顎にかかって少し上を向かされ、覚悟を決めて目を閉じる。
彼の唇が近づいてくるのを感じて、知らずにてのひらをぎゅっと握っていた。
すると唇に触れるかと思ったそれは、額と頬に触れ、顎にかかっていた指が離れていった。
目を開けると、彼はふわりと笑う。
それが気のせいか、少し切なそうに見えた。