オオカミ専務との秘めごと

と思っていたけれど、現実は思うようにはいかないもので・・・。

こういう場に慣れていない私は、イマイチ話に加われないでいる。

積極的にできず、楽しく話すみんなを眺める側になっていた。

テーブルの隅でチューハイをちびちびと飲みながら、たまに曖昧に笑う。

殻を破るのは、なかなか難しい・・・。


六人対六人。

男性はみんなCMで名前を聞いたことがある一流企業にお勤めで、腕には高級そうな時計を嵌めている。

落ち着いた雰囲気で笑顔が爽やか。外見もスキルも百点満点。

こんな人たちに彼女がいないとは、一体どういうことだろうか。

佐奈たちは、今日のために用意した男性受けのいい勝負服を着ているらしく、力の入ったメイクは華やかで綺麗。

臨時参加の私は完璧な引き立て役だ。

まあ前もって準備しても、そう変わらないのが哀しいところだが。


よし!こうなったらもう、払った会費分以上に飲食するべし!!


そう決め、みんなが食べずに置いているお皿を平らげることに徹する。

合コンの場所は会社の最寄駅から三駅離れたところにある、和風レストラン『鈴音』というところ。

リーズナブルなわりに高級な雰囲気のお店で、懐石風の創作料理が絶品と聞いた。

普段は外食せずにとことん節約しているから、こんなお食事は滅多に味わえないから大いに楽しまなければ。



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