オオカミ専務との秘めごと

カタカタとキーボードの音が部内に響く中、男性営業がせかせかと外に出かけていく。

季節の変わり目に突入した営業一課は繁忙期に入っている。

メールをしてから数日が過ぎたが、大神さんからは何の連絡もない。

延期になっている主任課長会議は日程は決まらぬままで、やっぱり専務は忙しいんだなと理解はするけれども不安になる。


『分かった』


もう一度お仕事要求メールをしようか迷うところだが、あのメールを信じて待つしかない。



「神崎さん、このデータの打ち込みを頼むよ」

「はい、分かりました」


楢崎さんに渡されたのは、オーガニックレストラン『ハイルング』各店舗から送られてきた収入と支出の書かれた表だ。

電気代から人件費まで細かく記載されており、それぞれのデータを入力していく。

頑張っている店舗と元気のない店舗との差がはっきりと数字に表れる、重要なデータだ。

間違いのないよう集中して作業しているといつの間にか時間が経ち、お昼のチャイムが鳴ってしまった。


「菜緒、お昼行こう」


佐奈と連れ立って食堂へ行き、塩田さんと合流する。

彼女とは一緒に食べたあの日以来ずっとお昼仲間だ。

塩田さんは業務の関係上一人で食べることが多かったため、仲間ができて嬉しいと言って、ホッとする笑顔をくれるから大好きだ。


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