オオカミ専務との秘めごと

レジを済ませてアパートまで自転車をかっ飛ばす。

買ったお肉は下処理をして早めに冷凍庫に仕舞いたい。

その一心でビュービューと木枯らしが吹く中を急ぐ。


二階建て軽量鉄骨、築三十五年の1DKの安いアパート。

就職と同時に引っ越してきたここは、お世話になった親せきの家に近いところにある。

裕福ではないけれどとてもいい人たちで、お嫁に行くまで家にいていいよと言ってくれた。

でも、お金のこととか気遣いするのに疲れてしまって出ることを選んだ。

お正月とお盆には雄太と一緒に挨拶に行くけれど、普段はあまり連絡をしていない。

あのままあの家にお世話になっていれば、もう少し生活が楽だったかなと思うときがある。

後悔はしていないけど。


アパートについたら荷物を置くのもそこそこにして、早速お肉の処理を始める。

ひき肉はハンバーグに。鶏肉は唐揚げに。

お弁当用と食事用に作って一回分ずつ分けて冷凍庫に入れておくのだ。

豚肉は七等分し、明日使う分を残して冷凍庫に入れておく。

今日の晩御飯はひき肉を使って、ミートソースのパスタだ。

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