オオカミ専務との秘めごと
夜の八時近くに一通りの作業を終え、ホカホカと湯気が立つパスタを食べる。
いつもあと一時間もすればベッドに入るので、この時間帯になるとめちゃめちゃ眠くなる。
半分うとうとしながら食事を終え、すぐお風呂に入って眠る。
毎日がこんな感じだから、佐奈たちと遊ぶこともないし、彼氏などつくる暇もない。
佐奈たちは口には出さないけれど、私のことを付き合いの悪い人だと思っているだろう。
現に学生時代、友人たちに「菜緒ってさー、付き合い悪いよね」なんて、よく言われたから。
でもこの生活も雄太が大学を卒業するまでのこと。
終わりが見えるし、大事な弟のためだから頑張れるのだ。
奨学金の返済はキツイけれど、賞与で補てんしながらも毎月のお給料から支払っていける。
こんな生活だから、大神さんに社員だとバレてクビになったら、シャレにならないのだ。
雄太が大学を卒業するまであと二年と少し。
なんとしても、大神さんから隠れ続けなければいけない。
できるだろうか、いや、やらなければ。
大変だけど、きっと何とかなるはず。
今までどんな局面だって、乗り越えてこられたんだから。
「お父さん、お母さん。どうか、私を守ってください!」
ローチェストの上に置いてある笑顔の両親の写真に願をかけ、いつもの時間に眠りについた。