オオカミ専務との秘めごと

そして、問題はこれ・・・納品書。

総務にもっていくべきものと、営業部で管理するものと混じっている。

封筒に入ったままのものもあったりして、月末の請求処理をどうやっているのか疑問に思ってしまう。

いつか問題が起きそうで怖い。


「ね、佐奈。ちょっといい?相談があるんだけど」

「どうしたの。何か問題あったの?」


パッとこちらを向いた佐奈の目がキラッと光る。

さっきの竹下さんとの出来事が、まだ尾を引いているよう。

ちょっと躊躇しつつも納品書の件を話すと、案の定立腹してしまった。


「えー!?なにそれ。そんないい加減な処理してるの?絶対、いつか問題起きるよ。私が竹下さんに言ってあげる!」


納品書の束を持って立ち上がりそうな彼女の腕をつかんで必死に止める。


「ま、待って佐奈。そんな攻撃態勢で行くと、また変なこと言われちゃうかも!」


小声でも語気を強めて言うと、佐奈は「あー、そうか」と言って椅子に座りなおした。


「もうっ、ほんと彼女って面倒な人!でも、菜緒、業務にかかわることだからちゃんと言ったほうがいいよ」

「分かってる」


本当は、楢崎さんから注意していただくのが一番効果があるんだろうけど、その前に私から言ったほうがいいんだろうな。

直接言ってくれればいいのに!って恨みそうなタイプだから。

本当に面倒な人だ。


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