隣の部屋と格差社会。
あのマンションでのことは夢だったんだ。
すごくすごく幸せな夢。暖かくて優しい夢だった。
自分の足で、自由に生きるひとたちが眩しかった。
佐渡さんや、美奈子さん、園の先生たちや保護者のみなさんも。
みんなきらきら輝いていて、格好良かった。
私もそうなりたかった。
でも、やっぱり住む世界が違うんだ。
仕事をして、失敗して。自分の無知さ、世間知らずさを実感して。
佐渡さんを好きになって振られて。
苦しいこともいろいろあったけど、そのたびに悩んで苦しんで、そして立ち上がってきた。
それは、今まで父の敷いたレールの上を逸れないようにまっすぐ進んできた私にとって初めてのこと。
楽しかった。充実してた。
だけど。